英語絵本:人間のネガティブな気持ちを受け止めてくれる【Why Do I Feel Like This?】

感情・気持ち

いつもポジティブでいたい。そして、寛容な心を持っていたい。イライラしないで、怒らない。誰にでも優しい自分でいたい。そうは言っても、そう上手くいかないのよね。

日々の生活の中でネガティブになったり、文句を言いたくなったり。嫉妬したり、イライラしたり。怒りをぶつけたり、誰かの悪口を言いたくなることってありませんか。私は、あります。そんな時に、そういうネガティブな気持ちを受け止めてくれる絵本があったらいいなぁ。そんなことを思っていたら、ありました! 


Why Do I Feel Like This?

Why DO I Feel Like This?】は、人間の心の奥にある気持ちや感情を、絵本の登場人物が表現してくれる。それに共感する。そういう気持ちになるのって、自分だけじゃないんだよねって、この絵本を読みながら安心しました。

イヤな気持ちになったら、どうやって気持ちを切り替える?

ストーリーでは、主人公の女の子がどんな時に怒りを感じたり、嫌な気持ちになったりするのかが具体的な例とともに書かれています。「そうそう!そういうことって、ホントあるのよ。」と女の子に共感する場面が多々ありました。私が、まるで自分のことを見ているかのように見えたのは、女の子が怒りをためている場面。その時の女の子の表情の恐ろしさったらない!きっと私も、こんな怖い表情でネガティブな感情を、グツグツと自分の内面に燃やしているに違いありません。

そしてそんな気持ちになった時の女の子の気持ちの切り替えかたが、秀逸。子どもなりに様々な方法や工夫で、嫌な’気持ちを忘れるための何かをするのです。その対処法をみて、自分はどんな方法で嫌な気持ちに対処してるかなって考えました。そして、女の子の方法、今度自分でも試してみようかなと思いました。

誰にでもあるんだよね、嫌な気持ちになるときって

女の子が気がついたこと。それは、嫌な気持ちっていうのは、多かれ少なかれ’誰にでもあるっていうこと。それを発見したことで、一つの安心感が得られたように見える女の子です。もっていきどころのない感情の納め方を、自分なりにあれこれと考えて試してみる。その積み重ねで、自分なりの心の持ちようを見つけだしたのです。

これって、ストレスが多い現代社会の中で生きていくのに大事なスキルだと思いませんか。

絵本作家、ヨシタケシンスケさんの世界観

この英語絵本の原作は、『ころべばいいのに』です。すでに、ご存知の方もいらっしゃったことでしょう。昨年(2019年)、日本の書店でこの絵本のタイトルを見たとき、衝撃を受けました。こんなに素直に、心の内を外に出してしまっている絵本って大丈夫?って。でも、個人的には、こういう絵本って好きなんですよね。「いいね~」って、心の中で、ニンマリしました。

人間って、人には見せない裏の部分って多かれ少なかれ誰にでも’あると思うんですよ。その裏の部分を持った時に、黒い心を持った自分は、なんて悪い人間なんだろう?と、自己否定する気持ちが出てくる子どももいるんじゃないかなぁ。

そんな時に、『ころべばいいのに』、【Why Do I Feel Like This?】を読んだら、ネガティブで、トゲトゲした気持ちを持つことは、おかしいことじゃない。でもそんな時には、こんなふうに考えてみるといいんだなと教えてくれる。

ヨシタケシンスケさんの世界観って、子どもの心の奥底をガッツリと掴むんですよね。子どもだけじゃなくて、大人の心、ですね。

想像力をくすぐるイラスト

ストーリーを彩るイラストに、作家、ヨシタケシンスケさんのとてつもない想像力があふれ出していて、圧倒されました。主人公の女の子のモヤモヤした気持ち、燃えさかる怒りの感情、自分の気持ちへの対処法がユーモアいっぱいにイラストで表現されています。誰の心にもありそうな感情を、具体的にイラストで見せてくれることが相乗効果となって、ストーリーにますます共感できるのです。

日本語の絵本と英語の絵本の両方を楽しむ!

日本語版と英語版の両方を、読んでみるのも楽しいですよね。日本語ではこう言うけれど、英語ではこんなふうに言うんだ。。。なんていう発見があるでしょう。

私が上手いなぁと思った英語訳は、モンスターが買うご褒美のページ。コーラのことが、super-sighs cola と表現されているんです。sighs (ため息)と、size (大きい、小さいのサイズのこと)を、同じ音で、別の意味と掛け合わせていて、思わずうなりました。しかもスーパーサイズ、ですから。。。ね。日本語だと、どんなふうに書かれているのかなぁ。興味がわいちゃいます。

大人におススメの英語絵本の1冊

絵本の対象年齢ですが、幼児さんには少し難しいこともありかもしれません。ある程度、学校生活や社会生活に揉まれてきた子どもが、共感できるんじゃないかな。小学校高学年生や、中高校生にもぜひ読んでもらいたいです。そして、様々な経験を積んできた大人には、ぜひ読んでいただきたい絵本です。

自分のネガティブな感情を、自分はどう扱うのか。決めるのは自分自身。。。というメッセージに、元気をもらいました!

読み終わったあとに、心がすっきりする絵本です。